原発は過酷事故を確実に回避する術を持たない(元設計者)

品川シーサイドの都立高専原発講演会があった。テクノシティ城南コミュニティカレッジ第5講として「福島原発事故の徹底検証とこれからのテクノロジー、技術者、ものづくりの課題」と題して元東芝設計者、後藤政志氏と同じく元東芝設計者、渡辺敦雄氏が講演した。自分も技術者のはしくれだが原発では設計者はどう思っているのか知りたかった。
当日は高専の学園祭が開催されていたが学生はスタッフの数人を除けば会場に姿はなく聴衆約60名はほとんどが中高年であった。これが現状をあらわしている。これからのテクノロジー、若者の将来は、と語っているが肝心の若者は出席していないのだった。
さてパワーポイントの配布資料が多量なので講師の2人は長時間話すのかと思ったらどんどん飛ばして要点の説明だった。

後藤氏は①1号機は想定外の津波でやられたといわれているがそうではなく地震で破損した可能性が高い。②溶融した炉心は今どこにあるのかわかっていない、③運良く格納容器が爆発する事だけは避けられた。もし爆発していたら日本の国全体がひっくり返っていた。④地震で他の原発も破損している、⑤シビアアクシデントを考えたとき人はエラーを起こすものでありこれは管理できない。⑥原発は過酷事故を確実に回避する術を持たない したがって受忍できない。と明快であった。

渡辺氏は①水素爆発は火花が起きなければおきない、地震で壊れたところがスパークして着火したと考える。すなわち津波ではなく地震で爆発した。②原発の発電単価は2010年第48回原子力委員会資料ですでに火力、水力より高い金額となっている。③課題克服には新エネルギーの開発を進めることだ④もんじゅは菩薩から名前を取ったがこれは技術者の思い上がりであった⑤わが国は計測安全で処してきたがまちがいであり、本質安全(どんなにがんばっても事故は起こる)に切り替える必要がある⑥今でも毎日24億ベクレル放出しており30年続く。冷温停止などではない。

もっと多くの発言があったが要点だけ記しました。ご両人とも原発の設計者であった訳ですが「原発は存在してはいけない」と強くのべておられたのが印象的でした。



     原発講演会(都立高専にて)