小笠原・「レモン林」

4/21~4/26小笠原諸島の父島と母島に行ってきた。小笠原は行政的には東京都だが文化的にはポリネシアだという。ポリネシアとは海洋性で暑い事もあるが太平洋の島々と交流がある事を意味する。

その一つの例が古謡「レモン林」だ。この歌は小笠原丸の船内や母島の街頭で流れている。日本語の歌だが不思議な雰囲気を持っている。♪若い2人は離れているけど でね~ 約束しましょう また会う日の夜に♪ でね~のところは普通の日本語の使い方ではない変な魅力がある。そして4番の歌詞になると、♪平和になったら二人はカボボして でね~ 新婚旅行は父島へ行きましょう♪ これこそ魅力爆発だ。「二人はカボボ」とは何をするのか、なぜ新婚旅行が突然登場するのか?
これらを研究した小西潤子さんの論文によるとこの歌はパラオで作られた。サイパンに出稼ぎに行った父島の瀬掘エーブル氏が持ち帰ったという。

戦前パラオは日本統治下にあった。日本人巡査と現地女性が恋仲となったが巡査は内地に帰国してしまった。この状況が歌われているという。カボボとはパラオ語で「組み合わせて一組にする」あるいは「結婚する」を意味する。つまり今は戦時下だが戦争が終わったら結婚して新婚旅行は父島へ行きましょう、私は待ってますよ~、という女性の気持ちが込められているのだという。

ただのほんわかした歌かと思っていたが、そうではなくすごいことになっている。内地からみると固有種が豊富な秘境小笠原諸島であるが、小笠原視点でみるとパラオサイパンに連なる海洋文化ということになる。ミクロネシア文化圏と言ったほうが正確かもしれない。

「レモン林」https://www.youtube.com/watch?v=eD_jDzd5GX4