「組織人から自由人へ」講演会

先日文京区千駄木を散歩していたら講演会のポスターが目にとまった。「組織人から自由人へ」のタイトルで55歳でサラリーマンを引退して作家をしている布施克彦氏が講師とある。自分に近く運命的なものを感じたので講演を聴きに行くことにした。
当日(3/5)会場は文京区シビックセンター、50人ほどの聴衆で盛況だ。
中高年が多いが若い人も混じっている。
前半は一般論(世の中状況)で後半が布施氏ご自身の体験談であった。特に後半は興味深かった。以下要約を記す。
2004年に60〜65歳雇用継続をめざす高齢者雇用促進法ができ2013年から本格施行される。これからは65歳定年時代となるだろうが寿命ものびており65歳でも平均余命は19年。定年後は長くなっている。
通常の人は組織の中で歯車として働き多かれ少なかれ不自由を感じている。だから自由にあこがれる。定年退職で自由になるはずだったがそうでもない。
組織人でなくなって戸惑う事その一は毎日が日曜日の恐怖だ。サラリーマンには貴重な日曜日だった。定年直後はうれしかった散歩や趣味も段々飽きてくる。
戸惑う事その二は家庭が解放区でなくなること。サラリーマン時代は家庭に帰るとほっとしていたが毎日家庭にいることで妻の生活パターンが乱れ文句が出るようになる。
しかしこれらの課題を解決し余生を自分で決める事はできるはずだ。それには自分の人生を振り返り夢を思い出そう。いわば後ろ向き思考である。選択肢は定年を扱った本を開くと、起業、手に職をつける、趣味、ボランティア、NPO、大学、Uターン、田舎暮らし、リゾートライフ、海外ロングステイなど多様である。
現在定年を迎えている団塊の世代は大丈夫な要素を持っている。それは①戦後をまるごと生きてきた②高度成長とその後のバブル崩壊失われた20年と良いときも悪いときも知っている、いわば一勝一敗③思考はアナログだがITを使える④同世代の数が多いという安心感。
布施氏の場合編集者と知り合い『54歳引退論』を書いた。そこで自分も引退すべきだと考え55歳で早期退職をした。20冊の本を書いてきたが時間が余るので外に出たほうが良いと考えNPO法人や大学の講師をしている。また若いときできなかった旅行をしている。
犬も歩けば棒に当たるのとおり色々とやっているうちにチャンスは転がり込んでくる。例えば本を出したら次の話がきた。少子高齢化というと暗いイメージが一般的だが明るい社会にできるかもしれないと思っている。


【私の感想】タイトルからすると組織人から自由人へチャンネルを切り替える苦労話をするのかと思った。
確かに組織人を離れたときの苦労話はされており共感するものであった。次の自由人へチャンネル切り替えは20冊の本を書き著述業成功!と華々しいかと思いきや淡々としたお話であった。「本は売れたが内容は大したことがない」などと至って謙虚なお話であった。
私の印象だが自由人全開というよりバランスに配慮して組織人的な部分も加味して静かに過ごすといったスタンスで、そこにコツがあるようだった。


布施克彦氏著書
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