私は東北の田舎町に生まれ高校までを過ごした。
幼い子供にとってＭデパートの屋上遊園地は国旗つきお子様ランチとともに夢の楽園であり設置してある望遠鏡も人気者だった。しかし時代とともに屋上遊園地はすたれていった。
高校生になったときふと訪れたらその望遠鏡が屋上片隅に捨ててあった。当時私は地学部天文班で天体観測をしていた。デパートの誰と交渉したかは全く覚えていないが天体観測に使いたいからと望遠鏡を譲り受けたのであった。当時乗っていた原付ホンダスーパーカブの荷台に望遠鏡を乗せ、わくわくしながらバイクを走らせた。以来この望遠鏡は彗星観測や星団観望に使われ、何度も引越しを重ねて現在に至っている。
今は自宅マンションの玄関倉庫にあり家族からは処分したらどうかと言われるが、「東京湾観測に使う」などと言っている。おそらく遊園地と天体観測の象徴なので捨てがたいのだろう。秘境光学の原点といった所だ。
地上望遠鏡 外形：φ100mm×全長468mm（フード部75mm含む）
前玉口径φ80mm二枚構成、接眼部に正立プリズム内蔵、Nikon製
